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文献詳細

雑誌文献

胃と腸8巻7号

1973年07月発行

文献概要

研究

消化管出血の緊急血管撮影―診断とその価値

著者: 浅野哲1 柳沼征人1 山本登司1 斉藤英昭1 高橋忠雄1 跡見裕1 上谷潤一郎1 宮沢幸久1 川井三郎2 河野実3

所属機関: 1東京厚生年金病院外科 2国立東京第一病院外科 3国立東京第一病院消化器科

ページ範囲:P.927 - P.935

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 消化管出血の診断には,主にバリウムX線検査と内視鏡検査が用いられている.Palmer1)はvigorous diagnostic approachと称して,バリウムX線検査と内視鏡とを急性期に積極的に駆使して,診断の向上に努めた.最近はファイバースコープの開発に伴い,内視鏡検査が安全かつ容易になり,積極的使用が強調されている2)3).しかしPalmerの最近の報告4)でも1,500例中104例6.9%の出血源不明例があり,なお診断困難な症例が多数あることを示している.

 1953年Seldinger5)により経皮的カテーテル挿入法が,1956年Ödman6)により選択的腹腔動脈撮影法が開発され,種々の腹部疾患の診断に応用されてきた.本法が消化管出血の診断にも取上げられ,Nusbaum and Baum7)~9),Reuter10)~13),Rösch,14)Kanter15),Koehler16)が,急性大量消化管出血では造影剤のextravasationを証明し,間歇期でバリウムX線検査などで診断困難な例で,出血源となる病変を発見し得ることを報告し,血管撮影が消化管出血の診断にきわめて有効であると述べている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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