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文献詳細

雑誌文献

胃と腸8巻9号

1973年09月発行

文献概要

胃と腸ノート

放射線直腸炎(1)

著者: 小林世美1

所属機関: 1愛知県がんセンター第1内科

ページ範囲:P.1200 - P.1200

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 子宮癌を放射線で治療すると,隣接する直腸粘膜はその影響を大いに受ける.直腸粘膜は,殊に放射線に対して感受性が強い.子宮癌は治癒しても,後遺症として現われた直腸粘膜障害が患者を長く苦しめることがある.これが放射線による直腸炎である.従来,この問題は婦人科,あるいは放射線科で取扱われてきたが,必ずしも満足できる治療が与えられたとは言いがたい.腸管側の問題であるから,私ども消化器病学を専攻するものとして,婦人科,放射線科と協力しながら,むしろ積極的にこの招かれざる事態に対処する方法を考えなければならない.最近外来で,この種の患者を多くみるようになったので,治療法の確立を目指している.

 頻度は,子宮癌患者で放射線治療をうけたものの約5%と通常示されているが,どの程度のものまで含めるかで,統計はちがってくる.1回でも出血のおこったものを含めると,私どもの施設では約30%に上る.時期的には,治療期間中におこる急性期と,治療終了後数カ月,数年を経ておこる慢性期の2相がある,私どもが通常治療の対象とする放射線直腸炎は,後者の方である.平均5~6カ月でおこるが,9年たっておこった例の報告もある.放射線量が多いほどおこるのは当然で,7,000~8,000radsの照射量に対して頻度が高くなる.一度放射線治療を受けた直腸壁は,長期にかけて進行性のdamageをうけ,線維化で厚くなり,硬結する.潰瘍やびらんが発生し,浸出物はFibrinを含む.潰瘍辺縁では血管拡張がおこる.狭窄が侵襲された壁のびまん性硬化によっておこってくる.血栓や血管硬化がみとめられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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