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文献概要
胃と腸ノート
放射線直腸炎(1)
著者: 小林世美1
所属機関: 1愛知県がんセンター第1内科
ページ範囲:P.1200 - P.1200
文献購入ページに移動頻度は,子宮癌患者で放射線治療をうけたものの約5%と通常示されているが,どの程度のものまで含めるかで,統計はちがってくる.1回でも出血のおこったものを含めると,私どもの施設では約30%に上る.時期的には,治療期間中におこる急性期と,治療終了後数カ月,数年を経ておこる慢性期の2相がある,私どもが通常治療の対象とする放射線直腸炎は,後者の方である.平均5~6カ月でおこるが,9年たっておこった例の報告もある.放射線量が多いほどおこるのは当然で,7,000~8,000radsの照射量に対して頻度が高くなる.一度放射線治療を受けた直腸壁は,長期にかけて進行性のdamageをうけ,線維化で厚くなり,硬結する.潰瘍やびらんが発生し,浸出物はFibrinを含む.潰瘍辺縁では血管拡張がおこる.狭窄が侵襲された壁のびまん性硬化によっておこってくる.血栓や血管硬化がみとめられる.
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