icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸9巻10号

1974年10月発行

今月の主題 症例・研究特集

症例

Diffuse Eosinophilic Gastroenteritisの1例

著者: 飯塚益生1 山岡郁雄1 松峯敬夫1

所属機関: 1東京都立墨東病院外科

ページ範囲:P.1271 - P.1276

文献概要

 われわれは最近,胆石症の診断で入院し,同時に頑固な下痢と末梢血の好酸球増加とを併存した46歳の女性で,手術所見でDiffuse Eosinophilic Gastroenteritisの診断を得た珍らしい症例を経験したので,ここに報告する.本疾患は欧米では比較的多くみられており,Ureles et al.(1961)5)は,胃・腸に突発的に好酸球浸潤を来した疾患47例を集め,Class 1(Diffuse),Class 2(Circumscribed)の2つに分類し,さらにClass 1 25例を3つのGroupに分類している.本邦では,大野ら(1971)6)がUrelesの分類でClass 1のGroup Cに属するものを発表しているが,われわれの経験した症例はDiffuseでPolyentelic Typeであり,Class 1のGroup Aに属するもので,この群での報告はいまだ見られてい

ない.

症例

 患 者:46歳女

 主 訴:右季肋部痛,下痢.

 家族歴:同胞4名,子供1名,母親,昭和46年胃潰瘍で手術,他は皆健在,父親戦死.

 既往歴:14歳猩紅熱,20歳腸チフス,40歳急性虫垂炎,昭和48年4月“喘息性気管支炎”で治療を受ける.他に蕁麻疹等の既往なし.海外旅行もしてない.

 現病歴:昭和46年夏,腹部膨満,右季肋部痛,嘔気,嘔吐出現し,近医にてレントゲン検査で胆石を指摘された.その後同様の発作が何回か出現しているが,発熱,黄疸,下痢は伴っていなかった.昭和47年正月になって右季肋部痛が頻回あるも,嘔気,嘔吐などの症状はなく,この年に2~3回このような発作をみた.昭和48年4月になって,咳・疾が出現,近医にて喘息性気管支炎と診断された.4月20日頃(入院前1週間)より右季肋部,右下腹部,右背部に疹痛あり,嘔気・嘔吐の他水様の下痢(食後3時間位して出現,1日3~4回)をみるようになった.胆石症の診断で手術を目的として当院外科に紹介され,昭和48年4月26日入院した.なお,体重減少は認めていない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら