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文献詳細

雑誌文献

胃と腸9巻10号

1974年10月発行

今月の主題 症例・研究特集

研究

N-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine(MNNG)によるラット胃癌の発生過程

著者: 斎藤貴生1 井口潔1 高山昭三2 杉村隆3

所属機関: 1九州大学医学部第2外科 2癌研究所実験病理部 3国立がんセンター研究所

ページ範囲:P.1297 - P.1305

文献概要

 N-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine(MNNG)の経口投与により,ラットに高率に胃癌を作ることが可能となったことは,杉村らの報告にもあるように1)~3),胃癌の実験的研究に有力な材料を提供した.MNNGは強力な突然変異誘起物質であり4),その発癌性の証明はinvivo5)~7)およびin vitro8)においてなされている.

 実験胃癌の組織発生に関する研究は,MNNGの開発以前においても,その胃癌誘発率の低頻度にもめげず行なわれてきた.Howes and De oliveiraは,20-Methylcholanthrene(MC)に浸した糸をラット腺胃の粘膜と漿膜の間に縫い込み,腺胃における初期変化について観察した9).Grant and Ivyは,ほぼ同様の実験操作を行なったラットで,胃粘膜の異常な変化を詳細に報告した10).Stewart一派は,胃癌の判定規準を提唱し,precancerとcancerを区別したが11),さらにMCをマウスの腺胃に注射してその経過を追求し,胃癌は多発性に発生すること,初発巣はumbilicate lesion下の粘膜深層から起こることなどを示唆した12).次いでN,N'-2,7-fluorenylenevisacetamideの経口投与による胃癌発生を報告した13)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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