研究
出血性びらんの内視鏡的ならびに文献的考察
著者:
青野義一
,
竹添和英
,
城島嘉昭
,
大原毅
,
三芳端
,
田中大平
,
鵜川四郎
,
山口重雄
,
黒坂判造
,
相馬智
,
城所仂
ページ範囲:P.1455 - P.1460
従来,出血性びらんという用語は,びらんまたは,びらん性胃炎の用語と混用されてきた.Table 1に示すように,既に1897年,Lainé1)によるÉrosions Hémorrhagiquesが初めでその後著者により,その命名はまちまちで統一されておらず,ほとんどが肉眼所見に基づくもので,現在用いられているものは,この内わずか3~4に過ぎない.この混乱に対しKatz2)(1968年)がAcute erosive gastritis,Hemorrhagic gastritis,Acute gastric ulcerをAcute gastric mucosal lesions(以下AGMLと略)と総称することを提唱したが,本邦でも,川井ら3)の急性胃病変の呼称がある.
出血性びらんの内視鏡的観察については,1939年Schindler4)がこれを詳細に記述している.即ち出血性びらんは,新しいかつ重要な疾患であることを強調し,Mucosal Hemorrhage,Hemorrhagic erosion,およびPigment spotに分類しその症例を述べているが,この業績が35年前に発表されたこと,およびその卓越した内容は,今日なお我々に感動大きなものを与える,同様に,Fodden5)も胃・十二指腸潰瘍に合併する出血性びらんについて述べている.このほか,AGMLとアルコール,種々な薬剤,または中枢神経系疾患との関連を論じた報告は,まさに枚挙にいとまがない.