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文献詳細

雑誌文献

胃と腸9巻11号

1974年11月発行

研究

経ゾンデ法による小腸X線検査―小腸二重造影法

著者: 中村裕一1 谷啓輔1 中村勁1 八尾恒良2 冬野誠助2 古賀安彦3

所属機関: 1福岡市医師会病院 2九州大学医学部第2内科 3国立福岡中央病院内科

ページ範囲:P.1461 - P.1469

文献概要

 小腸のX線診断は小腸が長く錯綜しているため,検査に長時間を要し,頻回の検査をする必要があり,しかも連続充盈像が得られず,また悪性腫瘍や潰瘍などの器質的疾患が比較的少いために敬遠される傾向にある.胃透視にひきつづいて行なうルーチン小腸X線検査法の弱点を改善するために,造影剤の分劃投与法1)~3),冷水,冷食塩水併用法4)~7),ソルビトール併用法8)9),胆のう造影剤併用法10),ガストログラフイン併用法11),非経口薬剤投与法12))などの種々の試みが行われてきたが,決め手になる方法が確立されずに現在に至っている,小腸全体の連続充盈像を短時間にしかも確実にえて,局在する器質的病変を描出する目的で,ゾンデを直接十二指腸内に挿入して造影剤を注入する方法はDavid13)(1913)に始まり,Pesquera14)(1924)およびGershon-Cohen15)(1939)によりbarium enteroclysisの名称で試みられている.Pesquera14)は全小腸の観察が30分以内にできることを報告し,Gershon-Cohen15)は二重造影法を試みて大腸の二重造影と同様の意味づけをしている.Schatzki16)(1943)はsmall intestinal enemaと呼び経肛門的に行なう大腸の充満像と同様の意味で十二指腸チューブを通して500~1,000mlのうすい造影剤を注入し,短時間に小腸全体の観察ができ,器質病変の診断には最も優れた方法であろうと述べている.

 たしかに局在する器質病変の診断能は向上するが,ゾンデを十二指腸に挿入するのに時間を要することと,揚合によっては挿入不能のこともあるために,あまり普及されなかった.しかしBilbao et al.17)がゾンデを十二指腸に挿入する時,フォルクスワーゲンのスピードメーターケーブルをガイドワイヤーとして使用すれば非常に簡単で短時間に挿入可能であることを報告して以来,さらにSeldingerカテーテル用ガイドワイヤーが使用されるようになり,小腸X線検査にも応用されるようになった.Sellink18)は造影剤の濃度,比重を検討し,比重1.25~1.35のバリウム600~1,200mlをゾンデを通して注入し,全小腸の美麗な充盈像が15分以内に得られたと報告している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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