文献詳細
胃と腸ノート
色素撒布法を応用した十二指腸球部粘膜の微細観察(3)―いわゆるシモブリ(サラミ)病変について
著者: 中島正継1 川井啓市1
所属機関: 1京都府立医科大学公衆衛生学
ページ範囲:P.1394 - P.1394
文献概要
図は球部全体に散在性および一部ビマン性に軽度の発赤を認め,十二指腸球部炎として経過観察中であった症例で,自覚症状の増悪とともに球部全体に散在性に発生したシモフリ(サラミ)病変の一部分のGIF-Dによる近接拡大像(0.2%インジゴカルミン液撒布)である.図のようにシモフリ(サラミ)病変の白苔(色素液によって淡青色に着色している)は淡雪あるいはアイスクリームが粘膜表面に附着したような状態で観察され,その周辺粘膜の絨毛は前回に述べた「イクラ型」絨毛とまでは変化していないが,やや浮腫状で,中心発赤も明らかである.生検ではビランおよび中等度から高度の炎症性細胞浸潤を認めた.本例の経過観察では,2週後には図のようなシモフリ(サラミ)病変の数はかなり少なくなり,大きさも小さくなっていたが,依然として認められた.しかし4週後にはシモフリ(サラミ)病変は全く消失し,軽度の発赤と絨毛の軽度不整を認めるのみとなった.
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