文献詳細
胃と腸ノート
慢性食道炎の概念―食道粘膜小顆粒性所見と食道粘膜生検3点法
著者: 酉家進1 川井啓市1
所属機関: 1京都府立医科大学第3内科学教室
ページ範囲:P.1405 - P.1405
文献概要
食道の内視鏡観察上,少数のロイコプラキー,小顆粒の存在はほとんど全例にみられ,われわれはこのような小顆粒の存在,粘膜の肥厚感,粗大顆粒,ロイコプラキーなどの所見を食道粘膜の粗糙
性所見としてとらえ,その程度をⅠ~Ⅲ度に分類している.この所見は加齢と共にその程度が強くなっており,粗糙性所見のない0度は若年者のごく少数例にしかみられない.一方,このような症例に食道3点生検(食道上部・中部・下部より生検)を行ない,その組織所見をみると,炎症性細胞浸潤の出現頻度は粗糙性所見が高度になるにつれ,高くなっている.しかし剖検材料の検討においては加齢と細胞浸潤の出現頻度とは相関せず,粗糙性所見は一方で加齢による影響をうけ,他方,加齢と関係なく炎症性変化の要素をもっていることがうかがわれた.
掲載誌情報