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文献詳細

雑誌文献

胃と腸9巻12号

1974年12月発行

文献概要

今月の主題 膵疾患の展望(2)―膵炎を中心に 主題

血管造影による膵癌の診断

著者: 佐藤寿雄1 松野正紀1

所属機関: 1東北大学医学部第1外科教室

ページ範囲:P.1543 - P.1555

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 膵疾患の診断に関して血管造影の提供する情報はきわめて多大であり,最近では各施設においても経験の積み重ねが行なわれ,膵の血管造影は,膵癌をはじめとする各種膵疾患診断の必須検査となってきた.今回は1974年3月までに教室で経験した129例の膵癌に対して施行された動脈造影84例,静脈造影77例について検討を加え,筆者らが行なっている血管計測処理による膵癌診断への新しい試みについて述べる.また血管造影と各種検査法との併用診断および読影上鑑別のきわめて困難な慢性膵炎との相違についても自験例から検討を加えてみたい.

膵癌における血管造影の占める位置

 膵癌の血管造影所見としては腫瘍の発育,浸潤に伴って生ずる動,静脈壁の変化すなわち壁の不整,硬化,狭窄,閉塞,偏位,伸展などがあげられ,また膵癌は血管に乏しい腫瘍であるために腫瘍血管,腫瘍濃染像を示すことは少ないなどが特徴として上げられる1)~5).これらの異常所見が血管造影で認められる頻度を教室例において他の検査法と比較してみると,膵頭部癌では図1に示すように動脈撮影では96%,静脈撮影が62%となっており,胆道撮影,膵外分泌機能検査が80%以上の陽性率である.一方,膵体尾部癌では静脈撮影は100%,動脈撮影では96%であり,膵外分泌機能検査および膵シンチグラムなどが80%以上の陽性率を示し(図2),いずれにおいても血管造影は高い陽性率を示している.これは各種の検査法が開発され,縦横に駆使されている現在においても,膵癌診断に関しては血管造影は診断能が高く重要な位置を占めていることを示すものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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