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今月の主題 膵疾患の展望(2)―膵炎を中心に 主題
血管造影による膵癌の診断
著者: 佐藤寿雄1 松野正紀1
所属機関: 1東北大学医学部第1外科教室
ページ範囲:P.1543 - P.1555
文献購入ページに移動膵癌における血管造影の占める位置
膵癌の血管造影所見としては腫瘍の発育,浸潤に伴って生ずる動,静脈壁の変化すなわち壁の不整,硬化,狭窄,閉塞,偏位,伸展などがあげられ,また膵癌は血管に乏しい腫瘍であるために腫瘍血管,腫瘍濃染像を示すことは少ないなどが特徴として上げられる1)~5).これらの異常所見が血管造影で認められる頻度を教室例において他の検査法と比較してみると,膵頭部癌では図1に示すように動脈撮影では96%,静脈撮影が62%となっており,胆道撮影,膵外分泌機能検査が80%以上の陽性率である.一方,膵体尾部癌では静脈撮影は100%,動脈撮影では96%であり,膵外分泌機能検査および膵シンチグラムなどが80%以上の陽性率を示し(図2),いずれにおいても血管造影は高い陽性率を示している.これは各種の検査法が開発され,縦横に駆使されている現在においても,膵癌診断に関しては血管造影は診断能が高く重要な位置を占めていることを示すものである.
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