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文献詳細

雑誌文献

胃と腸9巻12号

1974年12月発行

文献概要

今月の主題 膵疾患の展望(2)―膵炎を中心に 研究

スウェーデンのアルコール膵炎―内視鏡的膵管造影と血清amylase isoenzymeの対比

著者: 有山囊1

所属機関: 1順天堂大学消化器内科 2Department of Clinical Chemistry, Malmö Allmänna Sjukhus, Malmö, Sweden 3Alcoholic Clinic, Malmö Allmännn Sjukhus, Malmö, Sweden 4Department of Diagnostic Radiology, Malmö Allänna Sjukhus, Malmö, Sweden

ページ範囲:P.1575 - P.1583

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 アルコール多飲が慢性膵炎の病因として占める比率の高いことは各国の統計によって明らかである1)2).アルコール多飲者の飲酒量,酒の種類,飲酒期間と慢性膵炎の関係は,大量かつ長期間の飲酒者に本症が多いこと以外には一定の傾向がない.慢性膵炎を臨床的に診断するにはいろいろな方法があるが,大井3),高木4)によって実用化された内視鏡的膵管造影法はもっとも有効な手段の1つで,膵炎の診断には血管造影法より優れた結果がでている5)

 スウェーデンでは内視鏡的膵管造影法は1971年マルメのL. Wehlinによってはじめて行なわれ,その後急速に発展し,現在北欧3国で盛んに施行されている.スウェーデンにはアルコール中毒者が多く,これは昔からのつよい飲酒習慣と陰うつな天候が主な原因で,その他の要因として完備した社会保障制度によりアルコール中毒になっても生活の心配がないこと,労働時間が短いこと,社会主義によるすべての平等化が行なわれ,労働量の多少にかかわらず賃金がほぼ同じであるので労働意欲の低下があること,および,政府のアルール販売制限策が逆効果になっていることなどが考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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