icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸9巻12号

1974年12月発行

文献概要

今月の主題 膵疾患の展望(2)―膵炎を中心に 症例

孤在性の原発性非特異性小腸潰瘍穿孔例

著者: 原宏介1 鈴木雄次郎1 山城守也2 嶋田裕之3 中村卓次4

所属機関: 1東京大学医学部第1外科 2東京都養育院付属病院外科 3東京都養育院付属病院病理 4群馬大学医学部第1外科

ページ範囲:P.1599 - P.1603

文献購入ページに移動
 最近本邦では小腸の非特異性潰瘍が注目されており,特に岡部,崎村が提唱した,いわゆる“非特異性多発性小腸潰瘍症”の報告が多くなされるようになった26).これらの症例は貧血,低蛋白,浮腫,発育障害などを主徴とし,腸管透視により術前に診断されるものも多い.これに対し欧米における“原発性非特異性小腸潰瘍”の報告例は,1805年Baillieが最初に記載して以来,孤在性潰瘍が大部分で,穿孔,出血,閉塞などのため手術をうけ,はじめて発見されることが多く,両者の臨床像がかなり異なることから,同一疾患であるかどうかは異論のあるところである21)~23)

 筆者らは76歳女性における回腸潰瘍の穿孔例で,本邦では記載が稀であるが,欧米の報告では大部分を占める孤在性の原発性非特異性小腸潰瘍と考えられる症例を経験したので報告するとともに,多発性慢性潰瘍との比較検討および発生機序についての考察を加えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?