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文献詳細

雑誌文献

胃と腸9巻4号

1974年04月発行

今月の主題 意外な進展を示す胃癌

意外な伸展を示す胃癌症例

意外な進展を示す胃癌症例を見て

著者: 五ノ井哲朗 芦沢真六 望月孝規

ページ範囲:P.509 - P.511

文献概要

スキルスのX線像について

五ノ井 哲朗

 日常の臨床でわれわれは胃癌の経過をかなり的確に予測することができる.だが,現在のわが国におけるほど,1例1例の胃癌症例が綿密に検討されているという状況はかつてなかったことではないか,とすれば,その中にはこれまでの常識を越えた意外な発育の経過や急激な進展を示す症例なども数多く経験されているのではなかろうか,そのような期待をもって症例をみせていただいたが,胃外に発育して下腹部腫瘤の臨床像を示した虎の門病院の症例と,隆起型の胃癌が短期間に急激な発育を示した国立がんセンターの症例を除けば,あとはすべてスキルスの症例であった.意外にというか,当然ながらというべきか,意外な進展を示す胃癌はヴァリエーションに乏しいということができる.この中で同じく意外といっても,スキルスの意外性はややニュアンスがちがっている.スキルスは稀な,というほどの疾患ではなく,その意味での意外性はない.また,急激な進展を示すことは,むしろスキルスの常であって,この点でも意外というにはあたらない.意外なのはスキルスの経過そのものではなくて異常がないと診断された胃に,わずかの時日をおいて突然致命的な癌が発見されるという,もっぱら臨床的な出来事としての意外さである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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