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文献詳細

雑誌文献

胃と腸9巻5号

1974年05月発行

今月の主題 症例・研究特集

研究

臨床的・内視鏡的立場からみた潰瘍性大腸炎をめぐる2・3の問題

著者: 宮岡孝幸1 多田正大2 小林顕彦2 竹田彬一2 加藤三郎2 木本邦彦1 酉家進2 中島正継1 橋本睦弘2 郡大裕2 川井啓市1

所属機関: 1京都府立医科大学公衆衛生学教室 2京都府立医科大学第3内科

ページ範囲:P.647 - P.653

文献概要

 潰瘍性大腸炎は1859年Wilks1)の報告を始めとするといわれるが,その後,数多くの報告が相次ぎ欧米では比較的popularな大腸疾患とみなされている2).他方,本邦では1928年稲田3)の報告を嚆矢とするが,1958年松永4)の報告を契機に次第に注目されるようになるまでは,比較的稀な下部消化管疾患の一つに過ぎなかった.しかし,内視鏡検査をはじめとする診断技術の進歩にあいまって,今日では本邦でもそれ程稀な疾患とはいえなくなってきている5).すなわち,本症の内視鏡による観察は,近年グラスファイバーの導入による大腸ファイバースコープの開発・進歩によって病変部位の一層広範囲な把握も可能となり6),いわゆる慢性大腸炎の概念も改めてこのような立場から検討される機運となってきた.すなわち慢性大腸炎のうち,病因の不明なものは非特異性炎症性大腸疾患として本症に包括される傾向にあり7)8),本症の概念そのものも変遷しつつあることも見逃せない9)

 本症はその病因,病型分類,さらには肉芽腫性大腸炎との異同など,現在なお多くの未解決な問題を残しているが10).本文では教室の自験例を中心に,2,3の臨床的,内視鏡的知見を述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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