icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸9巻6号

1974年06月発行

文献概要

今月の主題 胃を除く上腹部腫瘤の診断 主題

剖検例からみた脾腫

著者: 小池盛雄1

所属機関: 1虎の門病院病理学科

ページ範囲:P.755 - P.763

文献購入ページに移動
 脾は種々の疾患に際して腫大し,臨床的には左季肋部の切痕を有する腫瘤として触知され,また季肋下に及ばぬものでも脾濁音界の拡大として認識される,さらには腹腔鏡による直視下の観察,血管撮影および放射性同位元素(59Fe,51Crなど)を用いての脾部体表面計測などの方法により脾腫の病態を臨床的に,的確に把握することが可能となってきた.

 一言に“脾腫”といっても脾腫を来す基礎疾患は多様であり,かつおのおのの疾患に際しての脾の病理形態像は種々である.脾腫を来す基礎疾患の詳細な分類や鑑別は成書にゆずるが,多くは白血病や悪性リンパ腫のごとき種々の血液疾患,Banti症候群や門脈圧亢進を伴う肝疾患,マラリア,カラ・アザールのごとき慢性感染症,稀に種々の蓄積病や脾原発の悪性腫瘍などである.これらの脾腫に際して認められる臨床症状は,その基礎疾患によるものの他に,脾機能亢進症状としての汎血球減少,さらには巨大な脾腫による消化管の圧排,狭窄による消化管通過障害や腫瘍の消化管壁への浸潤およびその潰瘍形成による消化管内大量出血,梗塞による腹痛などの腹部症状を呈することがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら