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文献詳細

雑誌文献

胃と腸9巻7号

1974年07月発行

文献概要

今月の主題 盲腸・上行結腸の診断 主題

盲腸・上行結腸の潰瘍性病変の診断―とくに肉芽腫性大腸炎(大腸Crohn病)を中心に

著者: 渡辺晃1 今井大1 沼沢誠1 奈良坂俊樹1 上江洲ジュリオ1 東海林健一1 石川誠1 山形敞一1

所属機関: 1東北大学医学部山形内科

ページ範囲:P.883 - P.893

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 大腸に非特異性潰瘍を発生する疾患にはさまざまなものがあるが,このうち臨床的に問題となるのは主として原因不明のものである.ここでは,原因不明のもののうち主に盲腸・上行結腸をおかす肉芽腫性大腸炎granulomatous colitis(大腸Crohn病,Crohn's disease of the colon,全層性大腸炎transmural colitis)を中心に述べることにしたいと思う.

 すなわち,大腸に原因不明の非特異性潰瘍性病変を発生する疾患には潰瘍性大腸炎ulcerative colitisのほか肉芽腫性大腸炎,非特異性結腸潰瘍nonspecific ulcer of the colon,孤立性直腸潰瘍solitary ulcer of the rectumがある.しかし,これらの原因はいずれも不明であり,本態の異同については未解明の点が多く,潰瘍性大腸炎を除いては正確な診断は切除手術施行以前には一般に困難と考えられている.しかるに,最近結腸ファイバースコープが実用化された結果,右側結腸に発生した病変の診断は比較的容易となってきているので,ここでは,手術や剖検を行なったのちすべての情報にもとづいて最終診断を決定した潰瘍性大腸炎23例と肉芽腫性大腸炎12例についてその所見を比較検討するとともに,結腸ファイバースコープ検査とその直視下生検の,両疾患の鑑別に対する意義について考察を加えた.同時に,両疾患との鑑別を要する非特異性結腸潰瘍,intestinal Behçet,および腸結核の診断についても併せて考察を加えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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