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文献詳細

雑誌文献

胃と腸9巻8号

1974年08月発行

今月の主題 胃潰瘍の最近の問題点

主題

胃潰瘍の内科的治療における最近の問題点

著者: 為近義夫1 岡部治弥1 広門一孝1 三井久三1 楢本純一1 新関寛1 西元寺克礼1

所属機関: 1北里大学医学部内科

ページ範囲:P.997 - P.1004

文献概要

 胃潰瘍は十二指腸潰瘍と同じく,その発生に胃液消化作用の関与が不可欠であるために消化性潰瘍と呼称されてきた.しかし,その成因にはその他数多くの因子の関与が想定され,未解決の点が少なくない.一般には胃液中の塩酸,ペプシンなどの攻撃因子と胃粘膜の抵抗,局所血流などの防御因子の平衡が破綻するために潰瘍が発生するという考えより,その治療には従来主として攻撃因子の抑制にカが注がれてきた.すなわち,胃液中の塩酸の中和,分泌抑制,ペプシン活性の低下を目標とした治療法が症状の寛解にも有効であるために繁用されてきた.しかし,十二指腸潰瘍患者においては過酸,過分泌はほとんどの症例において認められるが,胃潰瘍患者ではむしろ低酸ないし正酸を示すものが多い.したがって最近の胃潰瘍の内科的治療に関しては,分泌抑制の面のみでなく,防御因子の補強の面に重きをおいた方法が脚光を浴びてきている9)

 近年の胃X線,内視鏡の進歩により多少の問題は残しているとはいえ,ほぼ完全に胃潰瘍の治癒を判定できるようになり,その短期間の経過に関する情報は数多く報告されている.すなわち,潰瘍患者側の条件としてその潰瘍の大きさ,深さ,位置,性,年齢,社会的環境などにより潰瘍の治癒傾向にかなりの差があることは衆知のことである1)4)5)18)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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