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文献詳細

雑誌文献

胃と腸9巻8号

1974年08月発行

今月の主題 胃潰瘍の最近の問題点

主題

胃潰瘍の外科的治療における最近の問題点

著者: 城所仂1 渡部洋三1

所属機関: 1順天堂大学医学部消化器外科

ページ範囲:P.1005 - P.1013

文献概要

 胃潰瘍に対してはじめて胃切除術を行なったのはRydygier(1882)1)で,これはBillrothが胃癌の胃切除術に成功した翌年である.当時胃癌と胃潰瘍の区別がはっきりと認識されておらず,病巣を除去することを目的とした胃切除であり,Rydygierの切除例も小範囲胃切除であった.しかしこの頃の胃切除術後の死亡率がきわめて高率であったことより,このような良性疾患に対する胃切除術には,かなりきびしい批判がなされた.その後しばらくは手術侵襲の少ない胃空腸吻合術の時代が続くが,1899年Braunが空腸潰瘍の発生が非常に高率であることを警告して以来,非胃切除の時代より潰瘍局所切除術,さらには胃部分切除術の時代へと移行していった.

 1918年Finstererは今日盛んに用いられている広範囲胃切除術を発表したが,この術式はこれまで行なわれてきた術式に比べてはるかに再発が少なかったため,その後広く世界に普及するに至った.これと平行してEdkins(1906)7)により胃分泌に関してその幽門洞の意義が強調され,さらにDragstedt(1943)44)により胃潰瘍の発生は幽門洞性胃液分泌が主体をなすことが発表され,小範囲胃切除術を主体とした保存的胃切除術の研究が行なわれてきた.胃潰瘍の特殊型である高位潰瘍に対する術式は,Payr(1910)2)の楔状切除術,Kelling(1918)9)およびMadlener(1923)10)の幽門洞切除術をへて,Wilkins4)の噴門側胃切除術へと発展していった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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