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文献詳細

雑誌文献

胃と腸9巻8号

1974年08月発行

文献概要

今月の主題 胃潰瘍の最近の問題点 症例

進行胃癌と誤診された胃幽門部の粘膜肥厚症例性病変の1例

著者: 三戸康郎1 犬尾修三1 脇田政康1 副島一彦1

所属機関: 1九州大学医学部第2外科

ページ範囲:P.1027 - P.1033

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 早期胃癌の診断に関しては,その周辺粘膜の微細構造についてのX線及び内視鏡像の検討から,1cm以下の病変を発見することも可能となったが,一方では胃の大きな病変が,その大きさゆえに癌と誤診されるという症例も散見されるようである.われわれは,術前胃幽門前庭部の進行胃癌と診断し,切除胃標本の組織学的検索から,胃幽門部粘膜の広範な幽門腺肥厚を示したMénétrier1)病と考えられる例で,悪性所見の認められなかった症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.

症例

 患 者:63歳,男子,会社役員.

 主 訴:上腹部鈍痛.

 家族歴,生活歴,既往歴に特記すべきことはない.

 現病歴:入院2週間前より鈍い上腹部痛を感じるようになった.悪心,嘔吐,胸やけなどはなく,食欲も正常であった.全身倦怠感がつよく,疲れやすいので某医を受診し,胃X線検査を受け,胃に病変を指摘され手術をすすめられたので当科を訪れた.現在上腹部の鈍痛があるのみである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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