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脳性麻痺
著者: 馬場一雄1
所属機関: 1日本大学医学部小児科学教室
ページ範囲:P.161 - P.165
文献購入ページに移動脳性小児麻痺(zerebrale Kinderlahmung)もしくは脳性麻痺(cerebral palsy)は,単一な原因に基づく疾患でないという意味で,一つの症候群と見なされている.しかし,この場合の症候群は,特定の症状の組合せを言うのではなく,いわば一種の類概念である.換言すれば,本症に特徴的な症状を枚挙することによつて外延的に規定することの困難な症候群である.それでは,どのような概念規定を行なうべきであろうか.
この点について福山は,過去の文献を精細に検討し,脳性麻癖というためには,中枢性運動障害の存在が必要条件であるが,ほかにいくつかの制限条件が満足される必要のあること,このような制限条件として,年齢的制限,脳の病変が非進行性であること,運動障害が一過性でないことの3者をあげた.そしてさらに,つぎのような定義を掲げている.「受胎から新生児期(生後1ヵ月以内)までの間に生じた大脳の非進行性病変に基づく,永続的な,しかし変化し得る運動および肢位(posture)の異常である.その症状は満2歳までに発現する.進行性疾患や一過性運動障害または将来正常化するであろうと思われる運動発達遅延は除外する.」
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