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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科1巻2号

1966年05月発行

文献概要

質疑応答

異物使用(人体に使う金属はどのようなものがよいか)

著者: 飯野三郎1

所属機関: 1東北大学医学部整形外科

ページ範囲:P.217 - P.218

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 人体内に使用する金属は骨折接合用,固定用,人工関節用など,目的に応じていろいろ検討されているが,結局,体組織への物理的,化学的刺激,すなわち生物学的障害を惹起せず.骨metabolismに悪影響なく,ことに骨折治癒機転を阻害することなく,むしろ促進的に働くものが望ましい.ほとんどの場合,骨と密接して用いられるから,骨組織と親和性を示すものほどよく,その意味で金属自身の耐蝕性が重要視される.一方,一時的または永久的に骨に代用さるべき固定性・支持性が要求さるから,上述の条件が満されても,金属学的にみた個々の金属の各種の強度が十二分に大なるものでなければ役に立たない.さらに易加工性が必要である半面,加工によつて金属の諸性質,ことに金属結晶系の変換がおこつて強度の変化,腐蝕,疲労折損を来すようなものは適当でない.
 実際的の観点からみると,Zieroldが1924年にCuの骨過剰形成促進性,Au,Ag,Pb,Al,Stelliteの低刺激性,更にFeおよび各種炭素鋼,Mg,Ni,Znなどの骨再生障害性を実験的にみている.このように単体金属を単独に用いるか,合金として用いるかにも問題があり,以前はAg線などを骨折締結に用いたが,引つぱり強度が弱く,その後,不銹鋼合金に代つている.往時の(今なお地方などで散見する恐るべき)金メッキ材料のごときは言語同断で,毒物を体内に包埋するに等しい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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