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論述
四肢血管手術の実際
著者: 富重守1
所属機関: 1九州大学整形外科教室
ページ範囲:P.245 - P.252
文献購入ページに移動1.適応疾患
a)新鮮動脈損傷及び急性動脈閉塞症:上腕動脈,大腿動脈,膝窩動脈の新鮮損傷では,結紮すると可成りの頻度に壊死の発生を見るので,新鮮損傷時に出来る限り縫合修復する必要がある.殊に骨折などに合併する膝窩動脈損傷では100%近く壊死に陥ると考えて良いので絶対的適応である.前腕の橈,尺骨動脈および下腿の前,後脛骨動脈では,単独損傷であれば結紮しても著しい血行障害は認めない.しかし両枝の損傷を合併する時は,壊死には陥らなくても有意の血行障害を認める.殊に下腿の場合には後脛骨動脈,前腕では尺骨動脈がそれぞれ末梢の栄養には重要なweightを占めていると考えられる.従つて,尺骨動脈,後脛骨動脈損傷の場合は出来得れば縫合したが良い.
また急性動脈閉塞症についても原因は何であるにせよ,閉塞部位による手術適応の選択は新鮮損傷の場合と同様であり,血栓による血管閉塞は総腸骨動脈,大腿動脈などに好発し,壊死発生の因となるので手術適応となる.
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