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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科1巻3号

1966年06月発行

文献概要

境界領域

創傷療法の原則

著者: 岩原寅猪1

所属機関: 1慶応義塾大学

ページ範囲:P.259 - P.262

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 化学療法は創傷療法に革命をもたらし,外科を変貌させたかの感がある.まことに,化学療法の進歩普及した今日では癤・癰や丹毒などは姿を消し,見たくもみられない状態である.創傷の治療もまた著しくらくになり戦前の俤はない.ともすれば,化学療法をやりさえすれば創は治るというような錯覚を起こさせかねないほどである.しかし,それは間違いで,いくら化学療法が有力でも化学療法だけでいつでもどんな創でも治せるというものではない.それどころか,へたな化学療法のためにいたづらに耐菌性をつくつて創の治療をかえつて困難ならしめることさえありうる.化学療法はどこまでも創傷療法の原則のもとに行なわれるべきで,これによつて二つの相乗的な治療作用が発揮されて創の治癒はより速かに,より完きをうる.
 わたくしはちようど第二次世界戦争の前後にまたがつて40年ちかくを外科の分野を歩いてき,化学療法前期の創傷療法,わたくしのいう創傷療法の原則は一応身につけているつもりである.なにごとにつけても古きを温し新しきを知ることは必要である.思い出すままに誌して若い世代の参考に供する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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