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ここ数年来輸血による血清肝炎が増加し,さらに一力医学の常識を無視した頻回採血による売血者層の供血者貧血が多発したため,わが国の供血制度が世のきびしい批判をうけるに至り,遂に政府も1昨年8月可及的すみやかに献血血液をもつて医療用血液をまかなう大力針をたてるに至つた.これを機に世界に冠たりし売血国日本もどうやらまともな方向に転換しはじめた.それから約2年たらず,その間地方庁または日本赤十字社が献血の窓口となることが決定され,さらに昨年12月には東京弁護士会から頻回採血による供血者貧血の発生は人権じゆうりんの疑ありとの関係筋への警告が発せられ,これに対して日本血液銀行協会所属血液銀行の売血自粛など,相ついて大きな転換が続き,遂に本年6月には献血53%,予血34%,売血17%と献血が過半数をしめ,売血が遂に20%を割るに至つた.このことは数字的にはとにかく一応慶賀すべきことがらではあるが,解決すべき諸問題をそのままにしての発展であるので,これ以上の前進はこれらの問題の解決してからでないと至難であろう.
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