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臨床経験
骨原性肉腫の肺転移予防を目的とせる制癌剤の気管支動脈注入
著者: 大野藤吾1 御巫清允1
所属機関: 1虎の門病院整形外科
ページ範囲:P.724 - P.731
文献購入ページに移動骨原性肉腫の5年生存率は,諸家の統計によれば4,5,7,8,9,10,11,14,15,22),第1表の如く5%から26%,東大の症例では,経過観察できた46例中,5年以上生存した例が7例,即ち5年生存率は15.2%と,概ね極めて悪い.しかも,第2表の如く,東大の局所潅流13)後根治手術を施行した28例中,16例に転移が発生し,転移例の1年以内の転移発生率は81.3%,しかも,最初の転移部位が肺であつた症例が,転移例16例中,13例あつた.即ち骨原性肉腫の転移は肺転移が,大多数で,しかも,1年以内に肺転移の起る率が高い.予後改善上,肺転移の処理が重要となるが,実際に肺転移の発生した症例に対しては,肺転移巣の切除術という手段もあるが,多発性転移が多いので,適応例が少ない.従来,肺伝移の予防を目的として,根治手術後制癌剤の連日或は間歇全身投与を施行して来たが,血中濃度が極めて低く,その効果は余り期待できない.
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