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論述
色素性絨毛結節性滑液膜炎並びに粘液嚢炎(Jaffé)について
著者: 広畑和志1 公文裕1
所属機関: 1神戸大学医学部整形外科
ページ範囲:P.769 - P.780
文献購入ページに移動Jafféの言う色素性絨巳結節性滑液膜炎並びに粘液嚢炎は(以下PVS及びPVBと略す),多くの場合関節嚢内及び粘液嚢内に出血を反覆していて,漸次その部が結節状ないしは腫瘤状に腫大増殖するものである.これは,100年前Simonの記載にあるXanthomaであり,その後になつて,1941年Jafféがこれに対して,上述の病名をつけている.しかし,実際には,1852年,すでにChaissaignacが,腱鞘に同一疾患を発見して,nodular lesionと呼んでいるので,もつと古くからの疾患と言える.このように,歴史的にみては,本症は決して珍しいものと言えない.それにもかかわらず,文献に報告されたものは,比較的少ない.
外国でも,本邦でも,1年平均3例前後の発生があるに過ぎない.更に,この病因に関しての見解は,電顕,生化学,アイソトープ等の著しい発達や進歩にもかかわらず,現在なお一致せずまちまちである.Jafféの提唱した炎症説を無判別に支持して,PVBおよびPVSの病名を使用する人が多い.彼の報告後には,病因に関するつき進んだ研究や考察も少なく,単なる一例報告の域を出ない.もちろん経過や予後に関しての記載も非常に少ないのである.
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