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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科10巻11号

1975年11月発行

文献概要

シンポジウム 頸部脊椎症性ミエロパチー

頸部脊椎症性ミエロパチーの病態と病型

著者: 服部奨1 小山正信1 早川宏1 河合伸也1 斉木勝彦1 重松昭彦1

所属機関: 1山口大学医学部整形外科学教室

ページ範囲:P.990 - P.998

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 頸部脊椎症性ミエロパチーは比較的取扱う機会が多いが,その発生機序や病態に関しては不明な点が多い.発生機序に関しては多くの先人による諸説があるがいずれも定説とはなっていない.著者らのかねてからの実験的研究,剖検所見(文献例),および臨床例などから本症の病態と病型について述べたい.この本病態認識のきつかけとなつたと思われるBrainの最初の報告を少しくわしくふりかえつて,Brainが当時,この病態をどのように考えていたかを吟味してみると,Brainは頸椎の椎間板脱出症によると思われる神経症状を呈する患者でも10例中7例に変形性脊椎症様変化が頸椎にみられるので外傷性起因(と当時考えられていた)の椎間板脱出による神経障害と慢性の変形性脊椎症に合併する線維輪の後方膨隆によるものとを区別することは困難で,両者の重複もあり,いずれにせよ当時一般に考えられていたよりも,より変形性脊椎症性変化の方が,急に起こる椎間板脱出より,脊髄に対する障害を与える可能性は大きく,その際後方に膨隆するものの一部には骨棘も含まれ,椎間板要素以外の圧迫も重視せねばならないと推論している.その当時まで頸椎の変化による脊髄の症状は椎間板脱出によるものとのみ考えられていたようであるから,このBrainの考えは卓見というべきであろう.すでにその当時C5,C6間が他よりもそのような変化が起こしやすいことを指摘しており,根症状に併せて脊髄症状のあるものの存在,あるいは脊髄症状だけが起こり得ることも明記しており,10例中2例のみ神経根型で他の8例に脊髄症状を認めている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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