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シンポジウム 頸部脊椎症性ミエロパチー
頸椎症性脊髄症の診断と手術適応—Discographyを中心として
著者: 平林洌1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.1007 - P.1017
文献購入ページに移動頸椎症性脊髄症に対する後力侵襲法(椎弓切除法)と同様に,前方侵襲法もまたAir drillの開発普及によつて比較的安全かつ容易に行なわれるようになつた.この時点で前方侵襲法は,従来の単なる椎体固定効果に加えて後方への膨隆椎間板および骨棘を切除することによつて前方除圧効果をも期待しうるようになり,本症にとつて最も根治的な手術法になりえたといえる.
この前方侵襲法(除圧兼椎体固定法)を採るに際して,その侵襲高位を決定する第1の要件はいうまでもなくmyelogramによつて示される硬膜管圧迫の有無と程度にあるが,第2の要件として著者は椎間板の病態を考慮することにしている.というのは硬膜管への圧迫物が椎間板の後力膨隆にしろ,骨棘にしろ,それらが椎間板の変性を基盤として生ずる以上,現在はその病因性が疑われる程度でも,将来にわたつてはその危険性が増大すると案じられる時には,その椎間もまた前方侵襲法の適応が検討されるべきだからである.このためにmyelographyとともにdiscographyは,前力侵襲法を採るに当つて必要不可欠な補助診断法といえる.
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