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論述
手指PIP関節掌側脱臼について—特に徒手整復不能例を中心として
著者: 井上博1 田中繁徳1 福島賢人1 宮城恒夫2
所属機関: 1久留米大学医学部整形外科学教室 2宮城病院
ページ範囲:P.114 - P.120
文献購入ページに移動骨折・脱臼に関して偉大な業績を残したL.Böhler2)のKnochenbruchbchandlung(1937)中にMP関節の徒手整復不能例について既に原因は筋腱に由来するボタン穴機構によることを述べている.その著書の中で彼はPIP関節掌側脱臼に関しては一葉のレ線写真を添えて"Volare Verrenkung im Mittelgelenk(selten)"とのみ記していて詳細には触れていない.その後の数多くの成書中でこのPIP関節の掌側脱臼についての記載があるのは,内容の詳細さに関係なくみればHainzl7)(1957),Eaten4)(1971),津下19,20)(1972,1974)にしか過ぎない.津下はJohnsong9),豊島18)および能登13)の報告を引用して記載し,Eatonは写真および略図を附して非整復性の原因がlateral bandが顆部下にキャッチされることにあるとしている.
成書の記載はこのように極めて少ないが,本脱臼特に非整復性のものに関しての内外での報告をみると,本邦では学会中の追加例8,10,17,21)や会報12)も含めて9報告者11例である.海外では2報告者5例であるがSpinner16)(1970)の例は後述するごとく本邦報告例とは若干病像が異なつている.
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