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臨床経験
関節滑膜に見られる血管腫について—膝関節血管腫の2症例を中心として
著者: 加藤之康1 荻野幹夫1 古谷誠1 浅井春雄1 蜂須賀彬夫1 司馬正邦2 万納寺毅智2
所属機関: 1国立病院医療センター整形外科 2東芝中央病院整形外科
ページ範囲:P.180 - P.185
文献購入ページに移動関節滑膜に見られる血管腫は全身どの関節にも見られるが,その報告のほとんどは膝関節である.本症は1856年Bouchutによつて最初に報告され,以後Bennet & Cobeyの5例1),Lewisらの11例7)およびDepalmaらの3例2)を見るが,多くは1例報告である.1973年,Moonは過去の文献を網羅し,自験例2例を含め137例を報告している8),本邦では1954年に松本が第1例を報告したが17),最近では1968年から1972年までの5年間に16例の報告をみる13〜15),18〜20)).また全身性血管腫症は種々の呼び名で(Klippel-Weber等)呼ばれているものもあるが,その部分症として関節滑膜に血管腫を示すものは,関節症状として本文に述べるごとき特徴を持つので,本文では関節症状に記述を限定した.
本症はその存在を念頭におけば,その特徴的な症状および検査所見から正確な診断を得る事は容易である.本文の目的ば最近経験した2例の報告に,文献的考察を加えることである.
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