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装具・器械
新しく開発した大腿骨頭鋼線方向指導器(Hole in one Guide)について
著者: 井上肇1
所属機関: 1聖路加国際病院整形外科
ページ範囲:P.672 - P.676
文献購入ページに移動骨内操作の多い整形外科的手術や手技は直視下に行えないことが多いため名人芸的な勘と経験に頼る度合が強く,科学的とはよびがたいものが多い.逆にこのような懸念をさけて通ろうとすれば,確認を得るため必要以上に筋肉をさき,関節を開かねばならず,手術侵襲,感染の上からも後療法の上からも好ましからざることである.閉鎖性髄内釘固定術はこのことを強く意識したもので,多軸式牽引整復手術台1)を用いての術式はほぼ完成の域に近いものであるが,ここにこれから述べる大腿骨大転子部や大転子下部から大腿骨頭方向に向つて行うpinning,screwing,nailingや大腿骨頭内病巣部のbiopsy,搔爬などは,その意味で未完成の術式の代表例といえよう.この場合長い経路をたどつて間違いなく一度で大転子下部から骨頭中心に達するにはどうしても立体的にコントロールできるガイドが必要となつて来る.筆者は大腿骨骨頭に対する三次元ガイドの開発を3年前より手がけ,瑞穂医科工業の協力を得て試作をくりかえし,このたびおよそ満足しうる製品を完成し「井上式ホール・イン・ワン・ガイド」と名付けた.
本文の目的はこの新ガイドの原理,機構,使用法および応用範囲について述べることである.本ガイドの使用法は極めて簡単容易であり,しかも応用範囲は工夫によりきわめてひろい.
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