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論述
3例の全身性エリテマトーデスの剖検例に認められた大腿骨頭の変化—特に大腿骨頭無腐性壊死との関連について
著者: 塩原治男1 芦沢真臣1 臼井宏1 石井良章1 泉田重雄1 山口寿夫2
所属機関: 1慶応義塾大学医学部整形外科学教室 2慶応義塾大学医学部病理学教室
ページ範囲:P.1074 - P.1081
文献購入ページに移動全身性エリテマトーデス(以下SLEと略す)の経過中,大腿骨頭無腐性壊死を伴うことは,1960年Dubois, E. L.1)の報告以来注目されており,爾来今日までわれわれの渉猟し得た報告例は,内外合せて三十数例にのぼる.成因については,SLEに伴つて生ずる血管炎に求めるもの2,3),SLEの加療中に投与されるステロイドホルモンの影響によるとする4,5,6)ものなど未だその定説を見ない.
われわれは,慶応義塾大学病院リウマチ研究班で,加療中のSLE患者101例のうち,X線上明らかに大腿骨頭無腐性壊死と診断された8例を経験している7).われわれは,今日SLEをはじめとする血清病の原因として抗原抗体複合物の生物学的活性が重要視されていることに注目し8,9,10,11),血清病に伴う骨,関節病変の病態およびその発生機序の解明を目的として,可溶性抗原抗体複合物を用いて動物実験を行い,その一端を報告して来た12).
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