文献詳細
文献概要
臨床経験
慢性動脈閉塞性疾患における間歇性跛行の経過と予後
著者: 岩倉博光1 原勇1 立石昭夫2 赤坂嘉久3 曾我恭一4 伊藤維朗5 東博彦6
所属機関: 1帝京大学医学部整形外科学教室 2東京大学医学部整形外科学教室 3湯河原厚生年金病院整形外科 4都立墨東病院整形外科 5東京警察病院整形外科 6埼玉医科大学整形外科学教室
ページ範囲:P.453 - P.457
文献購入ページに移動馬の走行中の跛行が四肢の主要動脈の閉塞によつて生じることがあるとフランスやドイツの獣医によつて発見されたのは,19世紀の中頃のことであつた.1831年,獣医Bouleyにより,この症候が間歇性跛行と名づけられた.1846年Benjamine Brodieは人間において同様の症候群を発見して,"患者の大腿動脈が一見軟骨様の綱になつており,adductor canalの所まで,血行が認められない状態になつていると述べた.彼は跛行の原因が,筋肉運動の際増加する血行の需要に対して,動脈血の供給が不足することによると考え底たが,その後の研究者達の意見にはこの疼痛が運動筋の痙攣から山来するとか,下肢動脈のspasmを考えるべきであるとか,さらに虚血を生じた筋肉内に疼痛を発生させる物質が蓄積してくると述べる者などがあつた.
次に動脈閉塞性疾患の分類に関して,これを年齢によつて50歳以下では"Buerger Disease"または"thromboangitis obliterans"といい,それ以上の年齢では,動脈硬化性閉塞とする考え方がある.あるいはLeriche(1947)のように動脈閉塞性疾患500例のうちthromboangitis obliteransを35歳以下とする報告もあり,35歳と50歳の間には両者にまたがる特長を有する群があるという.
掲載誌情報