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臨床経験
脊椎カリエスに対する手術施行後5年以上経過例の検討
著者: 井村慎一1 高瀬武平 船木清忠
所属機関: 1金沢大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.635 - P.642
文献購入ページに移動結核予防法の制定以来,BCG接種,レ線間接撮影による集団検診,さらに抗結核剤や治療法の進歩により結核患者は激減した.昭和48年に行なわれた結核実態調査によれば,全国推計患者数は約82万人で,全結核要医療患者の有病率は0.74%であり,第1回実態調査(昭和28年)時の推計患者数は292万人,有病率の3.37%と比べ隔世の感がある.さらに全結核要医療者の年齢構成からみると,そのうちの37.2%は60歳以上と推定され,45歳以上の患者は65.4%を占め,かつて青年の疾患とされていた結核は,最近では高年齢層の疾患となつた.比較的重症で入院加療が必要であるものについてみると,半数以上が60歳以上であるといわれている.したがつて今後症例数は少ないが中高齢者の脊椎カリエスを扱うことが多く,老人医療の観点から考える必要があろう.
われわれは昭和28年以来,当科にて手術が施行された脊椎カリエス患者は108症例であるが,そのうち術後5年以上経過した98例につき,検討を加えた.
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