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論述
側彎症の肺機能
著者: 太田和夫1 加藤幹夫1 佐川弥之助1 加藤実2 渡辺秀男2 樫本龍喜2 小野村敏信3
所属機関: 1京都大学胸部疾患研究所肺生理 2京都大学医学部整形外科学教室 3大阪医科大学整形外科学教室
ページ範囲:P.1034 - P.1044
文献購入ページに移動側彎症は単に脊柱の彎曲異常を示すのみではなく,胸廓の変形を伴う事はすでに紀元前4世紀にHippocratesにより述べられている.このように変形した胸廓が肺機能の低下を伴う事については,1845年にSchneevoltが肺活量の減少を指摘して以来,数多くの報告がある.
近年,側彎症に関する社会的な認識が高まるとともに,受診患者数は著明に増加しているが,本症患者が呼吸器症状を主訴として受診する事は極めて稀である.この事は側彎症の発症が多くは思春期以前であり,たとえ胸廓の変形を有していても,この年齢では呼吸器症状に関して代償機能が良く保たれており,無症状に経過する者が多いことを示している.しかしこの年齢以後には,彎曲の増加または加齢とともにその代償機能が低下し,呼吸器症状を来たす者があることは事実である.
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