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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科12巻11号

1977年11月発行

文献概要

論述

脊髄損傷の初期治療

著者: 木下博1

所属機関: 1中国労災病院整形外科

ページ範囲:P.1045 - P.1058

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はじめに
 重度の脊髄損傷を手術的に治療するか,保存的に処置するかについては,議論がつきない.積極的手術論者は,長年,脊髄損傷の原因の一部が圧迫にあると考えて,手術による脊髄の除圧を主張してきたが14,15),果してそうであろうか.手術を行なうか否かは剖検や手術時に得られた骨傷と脊髄所見から損傷の病理を明らかにし,その基礎の上にたつて考えられるべきである1).著者は現在までに25例の外傷性脊髄損傷死亡例を剖検したが,その所見から麻痺の原因は急激な脊柱の屈曲,伸展,回旋によつて生じた脊髄組織の挫傷と,それに基づく出血,壊死,軟化などの不可逆的変化によるものであつて1),受傷直後完全麻痺を呈するものの大部分は受傷と同時にその運命がきまつており,除圧手術の効果は及ぶべくもないことを知つた2〜5,29,31).したがつて急激に発症した完全麻痺でそれが48時間以上つづく場合には麻痺の回復を企図した手術はすべきでないと考えている1,9,23,32,42).除圧手術の効果が期待できるのは,不全損傷例であり,手術の適応となるのは受傷後,新たに麻痺が生じたり,麻痺が進行する症例と考えられるが5,6,13),手術はあくまでatraumaticでなければならず,手術による二次的な脊髄の損傷や血行への影響も考慮しなければならない.不全麻痺を手術してかえつて麻痺を増悪させた症例の報告は多い7,8,18,38)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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