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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科12巻3号

1977年03月発行

文献概要

視座

治療成績の評価に共同見解を

著者: 津山直一1

所属機関: 1東京大学整形外科

ページ範囲:P.211 - P.212

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 多年真実であり,優れた方法であると信じられていたものが年月と共に再評価を受け,価値を疑われ他のより良い方法によつて取つて代られたような事実は少なくない.今まで存在しなかつた薬物や器械のような新兵器の登場によつて過去の方法が捨てられるのは医学の進歩であつて当然であるが,そのような因子がなく今まで普及していた考え方そのものに誤りがあつて,真実は別にあることが判明したような場合,われわれは短見や偏見にとらわれて患者に無意味な負担をかけていたのではないかと深刻に考えさせられる.その治療法の主唱,推進者自体からはこのような反省はなかなか生れず,大勢の協力,再検討の結果真価のあるものが明らかになることが多い.欧米の医学会で種々な治療方法の成績を委員会を設けて共通の規準のもとに統計的,客観的に判定しようとする試みがなされることが多いのもそのためである.
 先天股脱の徒手整復,ギプス固定のLorenz式治療法が高率に大腿骨頭に後障害をきたすことに批判の口火が切られたのは1947年の第37回ドイツ整形外科学会であつて,その時Hohmannが代表して全ドイツ国内の整形外科教室の成績をまとめて検討したところ,徒手整復後10年目に解剖学的に正常と判定し得たものはわずか10%そこそこであるという事実が公表され,これがドイツ整形外科学会会員に大きなショックを与え,急速に早期診断と最少限の運動制限で治療する諸方法(Frejka,Becker,Pavlik,von Rosenその他)に切りかえられ始めたのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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