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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科12巻5号

1977年05月発行

文献概要

臨床経験

Nail-Patella Syndromeについて

著者: 中西忠行1 野末洋1 岡田菊三1 生沼昭一1 有馬亨1 町田信夫1 田辺碩2

所属機関: 1国立東京第二病院整形外科 2田辺整形外科医院

ページ範囲:P.522 - P.529

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はじめに
 爪の栄養障害,骨格の形成不全とくに膝蓋骨の欠損と肘関節の形態異常を合併する先天性遺伝性疾患はNail-Patella Syndromeと呼ばれ,1897年Littleが発表して以来海外では比較的多く報告されている.その病態については時を経るとともに新しい知見が加えられてきたが,その代表的なものが"iliac horn"の発見と遺伝学的な研究といえる."iliac horm"は腸骨後面にみられる円錐状の骨隆起で,他の疾患には見られず本症を特徴づけるものの一つである,現在では,爪,膝蓋骨および肘関節の異常にこの"iliac horm"を加えて4大徴候としている.一方,遺伝学的には本症の遺伝子がABO血液型遺伝子との間に密接な関連があること,非伴性優性遺伝の形式をとることなどが証明されている.
 海外では,たとえば1963年Duncanが集収した症例数は44家系400例を越えるにもかかわらず,本邦での報告列はきわめて少ない.東洋人にはNail-Patella Syndromeはないという論文(Carbonaraら)も見受ける程であるが,事実は本症に対するわれわれの関心が薄いということらしい.著者らは本症の3家系を経験しているが,あとの2家系については,症例の検索中という本症に対する関心が高い時に発見したいいきさつがある.ここにその報告をするとともに文献的に本症の病態につき若干の考察を試みたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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