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抗生物質(セファゾリンナトリウム)の頸椎椎体周辺組織への移行
著者: 手束昭胤1 近藤憲二1
所属機関: 1徳島大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.582 - P.586
文献購入ページに移動整形外科領域においては脊椎脊髄手術,椎間板造影,椎体静脈撮影などにおける予防的化学療法として,またまれではあるが脊椎周辺組織の感染に対して抗生物質を使用する.臨床医が化学療法を行なう場合感染菌に対する抗生物質の最小阻止濃度および感染菌の抵抗性の他に第3の条件として,その抗生物質が病巣組織内に十分にbacteriostatic concentrationで移行するか否かが問題となる.現在まで抗生物質の椎間板や椎体(骨皮質)などの脊椎周辺組織への移行を臨床的に検討した報告はみられていない.今回われわれは脊椎手術(主として頸椎手術であるが)に際してセファゾリンナトリウムを点滴静注した場合の頸椎周辺組織内濃度を測定したので報告する.なおセファゾリンナトリウム(セファメジン)は1967年藤沢薬品中央研究所において開発されたセファロスポリン系抗生物質で,縁膿菌や変形菌等を除き,創傷感染に重要な因子を示しているブドウ球菌および連鎖球菌の大部分に対してすぐれた最小阻止濃度を有していると報告されているものである.
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