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論述
先天股脱に対する観血的整復術不成功例の検討とその対策
著者: 山室隆夫1 石田勝正1 岡正典2
所属機関: 1京都大学医学部整形外科学教室 2近畿大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.1088 - P.1096
文献購入ページに移動最近では先天股脱の発症に対する予防運動の実践や早期発見とRiemenbugelの普及さらにover head tractionの手技の改良など種々の努力の結果,観血的整復術を必要とするような先天股脱症例は激減してきている.しかし,今日でもなお治療が難航し観血的に整復を行なう必要に迫られる症例やteratologicな症例などが専門家のクリニックへ紹介されてくるのは決して珍らしいことではない.特に,すでに種々の観血的治療を受けているにもかかわらず大腿骨骨頭がなお求心性を獲得していないような症例には繰り返えし観血的整復術を行なつてもその後の治療に難渋することが少なくない.
そこでRiemenbugelやover head tractionによつて整復されない新鮮な症例に対する観血的整復術はどのような手技をもつて行なうのが最も望ましいか,また,すでに繰り返えし観血的整復術などの手術的治療が試みられた症例やteratologicな症例に対する観血的整復術ではどのような点に留意すべきか,さらに,観血的整復術後の亜脱臼を防止し臼蓋形成不全を改善する目的でしばしば補正手術がなされるが最も適切な術式は何かなどの諸問題を検討するために本研究を行なつた.
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