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特集 脊椎の炎症性疾患
非感染性脊椎炎の病理組織像—強直性脊椎炎の剖検例を中心に
著者: 児島義介1 小野啓郎1 辻本正記1 大田寛1 浜田秀樹1 前田晃2
所属機関: 1大阪大学医学部整形外科学教室 2国立大阪南病院整形外科
ページ範囲:P.297 - P.306
文献購入ページに移動強直性脊柱炎(ankylosing spondylitis)は代表的なリウマチ病の1つである.これまでわが国では非常に稀な疾患であると考えられてきたが,1970年辻本1,2)らの調査によつて強直性脊椎炎(以下ASと略す)は決して日本では少ない脊椎疾患ではなく,その多くがみすごされてきたことが指摘され,その有病率は全人口の0.04%であると推定されている.1973年Schlosstein3)とBrewerton4)がASとHLA-B 27との間にきわめて密接な相関性があることを,それぞれ独自に報告した.各種の疾病とHLAとの関連がとりあげられるにつれ,わが国でもASが興味ある疾患として注目されてきた,われわれはASと診断したのち約10年の経過後剖検する機会があつた1例を経験した.本邦ではASの脊椎病理に関する報告例はいまだない.頸椎から仙骨まで剔出し脊椎全般を詳細に観察することができた.本論文では非感染性脊椎炎という主題にしたがつて,症例は少ないがAS 1例と5例の慢性関節リウマチ(以下RAと略す)の脊椎病理について検討する,最近経験したRAの剖検例でASの椎間板骨化と肉眼的,組織学的に非常に類似した例がみられた.ASとRAを骨化と炎症という面から比較して述べる.
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