icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科13巻5号

1978年05月発行

雑誌目次

カラーシリーズ Microsurgery・4

切断指再接着術(Digit replantation)

著者: 玉井進

ページ範囲:P.424 - P.427

〔概説〕
 切断指再接着術はmicrovascular surgeryの技術が臨床に応用された最初の手術である.外径0.5mm前後の血管吻合も技術的に可能となった昨今では90%前後の再接着成功率が得られるようになったが,むしろ,再接着後の機能再建に焦点がしぼられてきた感がある.手術の絶対的適応は母指切断と多数指切断であるが,たとえ単指切断でも,患者の年齢,性,職業など諸条件を考慮して手術を適用すべきであろう.

視座

不敗の人

著者: 天児民和

ページ範囲:P.429 - P.429

 1977年第12回日本パラブレジア学会に会長百瀬教授がBostonのAlain B. Rossier教授を招待せられた.
 Rossier教授は車椅子生活者である.Documenta Geigy,Acta clinica No. 3 Rehabilitation of the Spinal Cord Injury Patient 1964の著書で日本にも知られているはずである.元来はSwissのLausanneの出身で1957年にLausanne医科大学を卒業し,翌年Doctorの称号を得たのであるが,大学卒業の前年,1956年水泳中の彼の上に跳込台より,跳降りた者が彼の背中の上に落ち,脊椎を傷つけ脊髄損傷を受けたと彼自身より聞いた.学生中にこのような重度の障害を持つことになつたが,彼は決して絶望しなかつた.車椅子訓練にも堪え,車椅子で医学者として活動しようと決意した.

論述

岡山大型人工膝関節置換術—臨床成績と適応

著者: 山本純己 ,   児玉俊夫 ,   三宅孝弘

ページ範囲:P.430 - P.437

はじめに
 1970年から1977年1月までの7年間に岡山大型人工膝関節置換術は102関節に行なわれた.そのうちわけは第1表のごとくで,疾患別にみると,関節リウマチがもつとも多く80関節で,ついで変形性関節症が20関節,その他の2関節は結核性関節炎である.
 使用した人工膝関節は,岡山大A型にはじまり,現在用いているMark-II(第1図)までのすべてが含まれている.ここでは,特に手術手技も一定になつた岡山大型人工膝関節Mark-IIの手術症例につき検討してゆきたいと思う.

境界領域

吉野式膝人工関節—第二報 脛骨における人工関節挿入前と挿入後の荷重試験について

著者: 小坂弘道 ,   内田詔爾 ,   吉野槇一 ,   木村賛

ページ範囲:P.438 - P.442

はじめに
 われわれは主にrheumatoid kneeに対して,脛骨板,「軸あり」膝人工関節としてShiers型とGuepar型,「軸なし」膝人工関節としてGeomedic型を挿入した.その術後成績から,1)外国製膝人工関節は日本人に大き過ぎる.2)「軸あり」膝人工関節はmetalosisが生じ易い.3)Geomedic型膝人工関節は大腿膝蓋骨関節に疼痛が生じ易いことなどがわかつた.そこでこれら問題点を考慮に入れてYoshino typc I膝人工関節を製作し臨床に応用した.しかし,この人工関節も術後観察期間が長期になるに従つて,Geomedic型膝人工関節と同様,左右のthrust,脛骨部人工関節のsinking(特に骨皮質に対する脚の影響)などが起きてきたので,脛骨部を大幅に改良したYoshino type II膝人工関節を製作した.本人工関節の構造,手術手技,適応,臨床成績については,「吉野式膝人工関節,第一報」ですでに本誌に報告してある.

症例検討会

骨・軟部腫瘍18例—骨・軟部腫瘍研究会

著者: 桧垣昇三 ,   陳信成 ,   立石昭夫 ,   今村哲夫 ,   町並陸夫

ページ範囲:P.443 - P.506

〔症例1〕
 (提出)東京大学整形外科
    桧垣 昇三  陳 信成
    立石 昭夫
   東京大学病理
    今村 哲夫  町並 陸夫
33歳,女子.
 主訴:左股関節痛.
 3年前より運動時に左股関節痛があつたがさほど強くないので放置していた.
 昭和51年7月始め左股関節に急激な痛みを感じ,その後持続性の鈍痛と歩行痛,運動痛があるため来院した.

臨床経験

Occipito-cervical anomalyにより四肢麻痺を来たした3症例

著者: 川岸利光 ,   東野修治 ,   原田征行 ,   王子知行 ,   中沢成史

ページ範囲:P.507 - P.513

はじめに
 頭蓋・頸椎結合部には種々の先天性発育異常・奇形がみられるが,その研究の歴史は比較的古い.わが国では1975年清水等1)によつて,basilar impressionの最初の報告がなされている.
 Occipito-cervical anomalyの臨床症状や機能障害はその解剖学的特異性からきわめて多彩であり,現在なお正確な診断がつかず放置されたり他の神経疾患と誤診されることも多い.

手指末節骨がcystic lesionを呈する疾患について

著者: 薄井正道 ,   石井清一 ,   佐々木鉄人 ,   三浪明男 ,   八木知徳

ページ範囲:P.514 - P.522

はじめに
 手指末節骨がレ線上cysticな破壊像を呈する疾患としてenchondroma,epidermal cyst,intra-osseous glomus tumor,chronic osteomyelitis(特にBrodie膿瘍),悪性腫瘍の骨転移などが考えられる.しかし,これらの疾患はいずれも発生頻度が少ないこともあり,臨床上の鑑別診断には苦慮することが多い.われわれはこれまでに悪性腫瘍の骨転移を除いてこれらの疾患を全て経験しているが,今回,症例を報告するとともに鑑別診断上の問題点を中心に考察を加えてみた.

先天性が疑われる小児軟部悪性腫瘍の2例

著者: 荻野幹夫 ,   蜂須賀彬夫 ,   古谷誠 ,   浅井春雄 ,   村瀬孝雄 ,   笹哲彰 ,   小坂正

ページ範囲:P.523 - P.527

はじめに
 先天性悪性腫瘍はすべての種類のものを合わせても,少数で稀なものである14).その中でもとくに四肢に原発するものは少ない14).厳密な意味では,先天性悪性腫瘍とは胎児期にすでに腫瘍の発生したもののみを指す言葉である11,14)が,実際には病変の存在に気付かれた時期が生下時より新生児期までのもので,病変の悪性腫瘍であることが同時期に組織学的に確認されたものをいうべきであろう.先天性四肢悪性腫瘍は同一の組織像を示す成人の場合に比べ予後が良好で,適切な外科的処置を取れば救命し得るものの多いこと6)が知られている.本文の目的は,先天性と思われる四肢軟部悪性腫瘍の2例の報告と文献の考察を行なうことである.

Nail-patella syndromeの1例

著者: 杉浦晧 ,   見松健太郎

ページ範囲:P.528 - P.532

 Nail-patella syndromeは爪の発育不全,膝蓋骨の形成不全,肘関節の変形およびiliac hornを4主徴とする常染色体性優性遺伝を示す疾患で,1897年Littleの4代にわたる18例の報告以来欧米では約50家系の報告が見られる.本邦においては1942年木曽の1家系4例の報告に次いで18家系35例の報告をさがし得た.
 われわれは最近本症の典型例を経験したので報告する.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら