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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科13巻6号

1978年06月発行

文献概要

視座

痛覚

著者: 伊藤鉄夫1

所属機関: 1京都大学

ページ範囲:P.541 - P.541

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 皮膚を針で刺すと鋭い痛みを覚える,また昆虫に刺されたり,高熱によつて焼けるような痛みを発する.このように鋭い機械的刺激のほかに化学的刺激や熱刺激も痛みの原因になる.痛みの研究には未解決の問題がなお多く残されているが,最近の研究によつて痛みの生理がかなりよく解るようになつた.
 痛みを伝える求心神経にはAδ線維と無髄のC線維があることが知られている.いずれも小径の神経線維であつて,Aδ線維は径3-1.5μ,興奮伝導速度6-30m/secであり,無髄のC線維は径1μ,興奮伝導速度は非常に遅く0.5-2m/secである.その受容器は樹枝状に分岐した自由神経終末であつて,体を侵害刺激から護るためのnociceptorである.皮膚を針で刺したときにおこる鋭く速やかに消える痛みはAδ線維によつて伝えられ,その局在が明瞭で,判別的epicriticであり,receptorは純粋の機械的刺激に反応する.C線維は皮膚だけでなく,筋膜,関節包,血管,内臓に広く分布しており,長く持続する局在が明瞭な痛みを発する.これは未分化の原始的protopathicな感覚と考えられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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