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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科13巻6号

1978年06月発行

文献概要

論述

随意性肩関節脱臼の病態について

著者: 水野耕作1 武部恭一1

所属機関: 1神戸大学医学部整形外科学教室

ページ範囲:P.542 - P.551

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はじめに
 習慣性肩関節脱臼は肩関節疾患のうちでもかなりの頻度にみられる疾患である.その病態ならびに成因については多くの報告がある,しかし,"肩が脱けやすい"という患者の訴えだけで簡単に習慣性肩関節脱臼と診断され誤った治療をされる場合もある.その一つが随意性肩関節脱臼である.
 1722年Portalは習慣性肩関節脱臼のうち,患者自身の意志によつて肩を脱臼させ整復できる症例に気づき,これをvoluntary recurrent dislocation of the shoulder(随意性習慣性肩関節脱臼)として発表し,明らかな外傷の機序をもつ通常のtraumatic recurrent dislocation of the shoulder(外傷性習慣性肩関節脱臼)と区別した.随意性肩関節脱臼は「患者自身によつて脱臼および整復できる肩関節脱臼である」という特徴以外の記載はなく現在でも病態には不明な点が多い.従つて,それに有効な治療法がないとされている.
 そこで教室における典型的な随意性肩関節脱臼の症例をもとにその病態を明らかにし,いわゆる動揺肩loosening shoulder,習慣性肩関節脱臼ならびに亜脱臼との鑑別,関節靱帯の弛緩を主徴とするEhlers-Danlos症候群との関連について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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