icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科14巻10号

1979年10月発行

文献概要

カラーシリーズ

実験的頸髄圧迫の血管透過性に関する研究

著者: 酒匂崇1 富村吉十郎1 前原東洋1 矢野良英1 大迫敏史1

所属機関: 1鹿児島大学医学部整形外科学教室

ページ範囲:P.966 - P.969

文献購入ページに移動
 家兎頸髄に後方より重錘圧迫(100g,15分)を加え,頸髄実質内の微細循環の変化についてmicroangiographyを用いて検討を行っているが,ここでは血管透過性の問題について論ずる.
 頸髄が急性に圧迫を蒙り損傷されると,中心灰白質に出血巣が形成され,自己崩壊現象により病変は周囲に拡大する現象がみられる.出血巣の周辺灰白質および白質には阻血の所見が著しく,また血管の拡張や造影色素の血管外漏出もみとめられる.2.5%Evans blue bovinealbumine complex(EBA)の静脈注入により血管の透過性亢進状態を観察すると圧迫終了後5時間位までの間にEBAの漏出は最高に達する.血管壁透過性亢進は抗カテコールアミン剤(reserpine,alpha methyl tyrosine,phenoxybenzamine)の投与により著明な抑制をみ病変の拡大がみられない.これは損傷脊髄部にカテコールアミン物質が蓄積され,微小血管の収縮により,血管壁の破綻を生じ血液成分の血管外漏出を来たすというOsterholm説を支持するものと考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら