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臨床経験
乳幼児脳障害の早期補助診断法—CT scanの利用
著者: 鷲見正敏1 謝典頴1 梁復興1 香川弘太郎2
所属機関: 1神戸大学医学部整形外科学教室 2兵庫県立こども病院整形外科
ページ範囲:P.1020 - P.1026
文献購入ページに移動今日では脳性麻痺児の治療に関して,機能の再建をはかる目的での早期治療訓練の重要性に対する認識がたかまつてきている.もちろん,この早期治療を行うためには的確な早期診断が必要であることは言うまでもない.しかし,一般的に利用されている神経学的検査法は,実際には臨床上かなりの熟練を要するので確定診断の困難な場合が多い.殊に乳児期においては,既往における危険因子,姿勢反射所見等からVojta1)の述べる中枢性協調障害児・症候性危険児として診断されるに過ぎず,ただ将来の病的発達を防止するという意味で早期治療が行われている.
このように早期診断の困難な脳性麻痺に対しては,従来からの補助的診断法としてX線単純撮影・気脳撮影,脳血管撮影・脳波検査などがあるが,必ずしも利用価値の高いものではない.そこで,著者らは乳児を主として対象とし,Computed Tomography(以下,CTと略す.)を施行し,脳性麻痺の早期補助的診断法として役立てるために,その有効性について検討した.
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