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論述
滑膜の障害による膝内障について
著者: 冨士川恭輔1 伊勢亀冨士朗1 柴崎昌浩1 三倉勇閲1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.120 - P.130
文献購入ページに移動膝内障というbasket nameが包括する疾患の病態は,関節造影法や関節鏡の改良と普及によつて次第に解明されつつある.とくに膝内障のうちでも最も頻度の高い半月障害や靱帯損傷等の診断率は90%以上に及ぶが,日常臨床に際してなお原因不明の頑固な膝関節痛に困惑することも少なくない.滑膜によるいろいろな障害も注意深く観察してみると 1)いわゆる棚障害,2)膝蓋下滑膜脂肪体の障害,3)軟骨部へのsynovial invasionとirritarionなどさまざまな形態異常をとつて発症していることがわかる.
いわゆる滑膜性障害の一つである棚障害は実際にはかなりの頻度で存在するが,一般にはまだ看過されがちであるように思われる.また,時には看過されるだけでなく半月損傷の診断のもとに半月剔出術をうけていることすらある.
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