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特集 脊椎外傷—早期の病態・診断・治療—(第7回脊椎外科研究会より)
腰椎損傷について—50例の経験から
著者: 里見和彦1 藤村祥一1 泉田良一1 満足駿一1 柴崎啓一1 大谷清1
所属機関: 1国立療養所村山病院整形外科
ページ範囲:P.387 - P.394
文献購入ページに移動近年,交通事故や産業災害の増加により,外傷性脊椎損傷は逐年増えるとともに,複雑化する傾向にある.事故防止のための社会的な環境づくりはいうまでもなく,外傷の発生にあつては,より良い社会復帰のための早期診断,治療がなされねばならない.
昭和41年以来,当院で経験した脊椎損傷は279例を数え,そのうち胸腰椎移行部(T11〜L2,以下Tは胸椎,Lは腰椎を示す)は151例と圧倒的に多く,腰椎中下部)L3以下)は10例と極端に少なくなつている.腰椎中下部損傷は麻痺があつても馬尾あるいは神経根損傷によるため,一般には麻痺の予後が良好である.また,そのために歩行を開始した後,腰痛を訴える例もみられ,適切な初期治療が要求される.ここに自験例を中心に腰椎損傷を吟味し,その診断,治療上の問題につき言及する.
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