論述
金療法無効RAに対するD-ペニシラミンの効果について
著者:
宗広忠平1
真鍋昌平1
山田義夫1
野村忠雄1
西島雄一郎2
所属機関:
1金沢大学医学部整形外科学教室
2金沢医科大学整形外科学教室
ページ範囲:P.445 - P.448
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D-ペニシラミン(以下D-Pとす)は,従来,Wilson病(肝レンズ核変性症)や,鉛,水銀,銅などの重金属中毒の解毒剤としてや,また,シスチンと結合して容易に尿中に排泄されることより,シスチン結石の治療剤として用いられてきた.その後,DeutschとMorton1)(1957)が本剤のマクログロブリン解離作用を報告して以来,本剤の免疫学的性質に関する種々の研究がなされてきた.慢性関節リウマチ(以下RAとす)においては,リウマトイド活性を低減させるという根拠よりJaffe2)(1965)が初めて本剤を用いた.以後RAに対するD-Pの使用については,多くの研究,報告があり,その臨床的有効性は確立されつつある.しかしながら諸家の報告に見るごとく,その副作用もかなり高率を示し,いまだRAの第1選択薬剤としては不適当であると思われる.
そこで我々は,従来どおりの消炎剤と金療法の併用を行ない,しかるのち金療法の効果が十分現われない症例に対して本剤を投与する方針をとつてきた.ここでは,これら金療法無効例に対するD-Pの効果について述べてみたい.