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手術手技
先天性(幼児)下腿偽関節症に対する水島式手術—脛骨交換術と遠位脛骨腓骨間骨癒合術
著者: 水島哲也1 浜田秀樹1
所属機関: 1大阪大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.449 - P.459
文献購入ページに移動先天性(幼児)脛骨偽関節症に対しては,現在までにいろいろな手技を用いた手術法が行なわれてきた.これらの手術法のなかで,Campbellの手術書にはBoyd,VanNes,McFarland,およびSofieldなどの手術法がとりあげられている.しかし,これらの手術法によつても良好な成績をあげることの困難さは周知の事実であつて,1971年にSofieldが発表した106例109肢に対する手術成績では,58肢に骨癒合をみたに過ぎない.
本疾病の生じる原因が未だ不明であるにしても,局所に何らかの欠陥が存在することが考えられている.われわれは骨癒合が生じ難い理由として,偽関節部分の骨膜,骨皮質,骨内膜,および骨髄組織などの全て,あるいはこれらの幾つかに機能障害があるためであろうと考えた.そこで同部を正常な骨皮質,骨内膜,および骨髄組織を有する骨幹,すなわち健側からの骨幹により,骨膜下に置換すれば機能障害が改善されて骨癒合を営むのではないかと推測した.健側は骨膜が正常であるので,骨膜下に移植された患側骨幹の表面に骨形成を生じ,骨癒合がおこるものと考えた.これらの骨片の固定には,良好な固定と長期間留置する可能性を考慮して,ダイヤ型のRush pinを用いることにした.
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