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臨床経験
骨硬化像を呈し多発性神経炎を伴う骨髄腫の1例
著者: 坂上正樹1 木下博1 平川寛1
所属機関: 1中国労災病院整形外科
ページ範囲:P.706 - P.710
文献購入ページに移動骨髄腫は多発性に骨を破壊融解し,代表的X線所見はpunched out lesionとされ,骨増殖をともなわない溶骨巣を示すのを特徴とするが,1950年代後半から,骨髄腫でありながら骨硬化像を呈し,しかも同時にpolyneuropathyを合併する症例の報告をみるようになり2,5,12),骨髄腫とneuropathyとの間に何らかの生物学的関連性のあることを示唆する論文も現われてきた4,13).
1973年淀井,高月らは骨髄腫でありながら多発性神経炎と多彩な内分泌症状をともなうplasma cell dyscrasiaを一つの症候群として提唱し14),高月が第48回日本整形外科学会の教育研修会でも講演したが8),このような症候群の存在は最近国外でも注目されるようになつた11).高月の調査10)によれば,現在までに我が国で約60例に達するというが,おもに内科医が関心をもち,その殆んどが内科関係からの報告である.しかし骨髄腫としては非定型的な骨硬化病変をともなう点で我々整形外科医にとつても興味ある疾患であるので,以下自験例を報告するとともに本症候群の概略について述べたい.
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